音楽:7/f
作詞:入江陵慈 作編曲:松永龍也
うた:亀芳・パリブレスト・りつ
cv.松田利冴
この曲は、あんなが私のために書いてくれた詩を、私なりの全力のパッションで歌った一曲なんだ。
その歌詞のおかげで、終盤はぎりぎり息がつづくかどうか…くらい精いっぱいで…。歌詞をもらったとき、あんなにほんとにこれ歌えるの?って聴いたら、「お姉ちゃんならこんなの余裕でしょ」だって……。
(お姉ちゃんの歌う様子を観察して、理論値ギリギリまで調整したから無理もないのだけど…その精いっぱいさが歌詞とリンクするしかけになっているから、歌っている姿を見た人にはきっと伝わるよ)
あ、あんな! あんなからも是非ひとことちょうだい!
…モチーフにしたのは『注文の多い料理店』で、考察が好きな人なんかは、この歌に出てくる「ホテル」との類似点なんかも考えてみて。
楽曲解説:
亀芳・パリブレスト・りつの1つ目の楽曲。りつは和洋折衷様々な「御菓子」屋である亀屋芳広をモチーフにしたキャラクタということで、曲の雰囲気も艶やかに移り変わります。
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「和洋折衷」をコンセプトに楽曲を制作するにあたっては、「7/f」の間でもかなりの試行錯誤が行われたとのことで、作曲の松永さんは「758の中で最高に難産で、収録ぎりぎりまで制作作業を続けなんとか現在の形となり、曲中テンポチェンジ2回というギミックなど、個人的にも色々と挑戦したナンバー」となったとコメント。
実際、前半がAB進行のスタンダードな洋楽ロック、そこから和の雰囲気を醸し出すパートに移り、最後はロックにおける和洋折衷とでもいうべきV系寄りのアレンジに向かう流れは、モチーフやキャラクタと同様に楽曲でも一曲の中で和洋折衷を追うチャレンジングな構成になっており、初めてフルサイズを通し聞いた時のインパクトは大きいのではないかなと思います。
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本楽曲は「松田さんの歌唱力をもってライブで歌う姿」が一番キまる楽曲を目指し、パフォーマンス重視で制作され、初お披露目もライブ当日でした。松田さんは誰もがまだ聞いたことのない状態で、そのプレッシャーも相当なものだったと思いますが、この歌を見事に歌い上げられていました。生でしか伝わらないパッションがあると思いますので、是非ライブで歌う姿を見ていただきたいナンバーです。
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さて、曲の世界観に目を向けると、「ホテル」を舞台にした曲には、世界中に名作がたくさんあり、有名どころでは、イーグルス『ホテル・カリフォルニア』、井上陽水『リバーサイドホテル』など異世界に迷い込んだ雰囲気で独特のはかなさや、社会風刺の要素を持つ名曲中の名曲が存在しています。
作詞の入江さんはこの曲について、「さながら、3幕構成の舞台劇であり、オカシなホテルで数奇な人生を送る人々、そこでの決意を叫ぶ人間の物語」として、名曲たちにリスペクトをささげつつ、宮沢賢治『注文の多い料理店』をモチーフとする形で、前出の楽曲やこの童話同様に、風刺の要素が見え隠れするようになっています。
これは、物語上はりつの双子の妹アンナが作詞をした、という設定によるもので、この曲が初めてお披露目された際のドラマ、ep.08『少年ミリオンの危機』では、「正直、私は歌詞の意味、半分も理解できてないんだけど」「さすがはあんなというか、歌ってると、なんか、わかんだよね、これは私の歌だ!って」と述べているりつ。あんなが何を想い、りつにこの詩をささげたのか、など、ぜひ様々な側面からこの楽曲を愉しんでいただければと思います。
楽曲データ:
収録:
『少年ミリオン 1st album シークレット・ウォーター』
『projecct758 音楽集 夢のアルバム』
音楽配信:
『少年ミリオン シークレット・ウォーター』
歌唱:
『少年ミリオン1stトーク&ライブ』2015年9月27日
『Get Ready For It』2016年4月3日
『Live in A』2016年7月24日
歌詞:
充盈(じゅうえい)なリクエスト
そこは御宥免<ごゆうめん>に
身なり整え
武器なんて持たないで
そこは
なんて素敵でオカシなホテル
一筋の水平線 群青に
彩り 鮮やかな 現世<うつしよ>は
舞い散る 花弁<はなびら> 艶やかに
なんて素敵でオカシなホテル
波間の着替えは 弥増<いやま>して
儚き 吟声<ぎんせい> とどめる
外套<がいとう>は捨てて
宝石も手放して
牛酪<ぎゅうらく>は入念に
耳まで忘れずに
ここは
なんて素敵でおかしなホテル
フロア上がれば ケミカルの
光 揃って熱狂ね
現実不在のマボロシよ
なんて素敵でオカシなホテル
御紙面<ごしめん>はにぎわいざわめく
協奏の時を 夢見て
チェックインもアウトも
酸いも甘いも同じ
新陳代謝の動的平衡!
そこは
なんて素敵でオカシなホテル
一筋の水平線 群青に
彩り 鮮やかな 現世は
舞い散る 花弁 艶やかに
なんて素敵でオカシなホテル
波間の着替えは 弥増して
儚き 吟声 とどめる
飛び込んだのは
渾<すべ>ての願いの束<たば>
絶望はないよ
一緒に さぁ Fly high!
その逢着(ほうちゃく)が
運尽<うんづ>くによるものとして
希望はあるよ
伴に歩めるのなら
この音色をぼくらの元まで
もたらす伝達物質
それは空気でも火でも水や土でもなく
あなたがいてはじめて伝う
この胸の熱い鼓動よ!
例え心の一片失ったとて
La La La La … La La La La …
ずっと 声を届け続けるよ Ah