銀月の騎士-シルバー・ムーン・ナイト- 楽曲紹介


音楽:7/f
作詞:入江陵慈 作編曲:松永龍也
うた:宮小路平子 (cv.大西沙織)
イラスト:おやま

創り手が彼是と語るより、メロディと詩から、あなたが感じたままを胸にとどめておいてもらうのがいいのではないかしら?

楽曲解説:

 宮小路平子の最初の楽曲。平子の設定は「駄洒落好きで、中2病を拗らせた感じ」ということで、この曲の制作にあたっては、かのドストエフスキーが「最も偉大で最も憂鬱な書物」と評したミゲル・デ・セルバンテス著『ドン・キホーテ』に題材をとっています。

 作中、自らを伝説の騎士と思いこむドン・キホーテに平子を重ね、彼に真実を突きつける銀月の騎士を一種の「現実」と見立て、そこに対する平子の想いを中心に展開すれば、騎士もきしめんに掛かっているし面白いのではないか、と世界観が創られていきました。

***

 少年ミリオンのソロ曲は、りつの『オカシなホテル』、きよめの『あなたのきもち』、そして平子の「銀月のきし(めん)」と、各キャラクタのモチーフ繋がりのタイトルが入っていますが、この曲は駄洒落だったり、歌詞に縦読みの仕掛けや語りがあったりと、情熱的な曲調に対して、言葉遊びな仕組みを多数織り交ぜることのギャップ、喜劇的要素も、『ドン・キホーテ』譲りなところ。

***

 語りパートや、終盤、平子がパズルのように言葉で遊ぶ感覚が聴きどころの一つですが、「私のことを中二というけど、私が目を醒ませばこのセカイごと、あなたも消えるのよ?」と、仮想敵である目覚めのナイトと戯れる平子、というストーリーで追いかけても楽しく、そうした面でも平子らしい楽曲となっているのではないでしょうか。

***

 終盤の熱い展開については、平子のキャストである大西沙織さんが平子を演じる際、序盤冷静で、語っていくうちに熱がこもって早口になっていく、という演技プランを取られていて、そのあたりが曲の制作においても参考になっています。

 収録時には、この最後のパートを、エネルギーを発散・爆発させるより、(完全燃焼パターンも試行したうえで)内側で燃やす感じに解釈し、熱く、丁寧に表現されていて、その表現力がとても印象的でした。

楽曲データ:

収録:
 『少年ミリオン 1st album シークレット・ウォーター
 『projecct758 音楽集 夢のアルバム

音楽配信:
 『少年ミリオン シークレット・ウォーター

歌唱:
 『少年ミリオン1stトーク&ライブ』2015年9月27日 
 『Get Ready For It』2016年4月3日
 『Live in A』2016年7月24日

歌詞:


邪〈ヨコシマ〉ナ
眼デ見ツメテイテモ
ノゾミ ハ キット
カナワナイワ
 
右モ左モ
手足モ縛ラレ
疼キオサエ
クラヤミ愛ス
 
偉大で憂鬱な彼女<わたし>の物語を さぁ
語り明かす白夜の海へランデブーしましょ
私の真実<ホント>に、足並みそろえて
聴いていて いつまでも
 
あなたは きっとそうね
私の 銀月の騎士<シルバームーンナイト>
この霧夢から いつか 私を 呼び醒ます
 
あなたは きっとそうよ
私の 銀月の騎士
ただセカイを 眠りへと 誘<いざな>うのね
 
願いを聞かせてよ 私の 銀月の騎士
羊や風車がどう見えるかがそんなに大事?
セカイは夢の中 私の 銀月の騎士
指先を絡み合わせ 堕ちるのよ
 
(語り)
世界を統べる力なんて私にはないけれど
セカイが私の中にあるという
想いを捨て去るには未だ私は幼年期
 
私が否定しない限り、この物語は永遠よ?
 
あなたがそれを暗闇の呪縛と云って
目覚めの騎士<ナイト>を気取るのなら
 セカイを終局へと導く
祈りと覚悟の準備はあるかしら?
 
 
偉大で憂鬱な彼女<わたし>の物語は あぁ
道化師のように笑顔<スマイル>で
喝采を受け入れる
私の現実<ホント>に、気付いたとしても
踊っていて いつまでも
 
あなたは きっとそうね
私の 銀月の騎士
この霧夢から いつか  私を 呼び醒ます
 
あなたは きっとそうよ
私の 銀月の騎士
ただセカイを  眠りへと 誘うのね
 
(語り)
あまねく多様性というけども
求める価値観すれ違ったまま
宿屋がお城になるならば
あなたが正気で私は狂気
 
それはきっと、
溜息風味の
拗らせ風味の
達観風味の
自己愛風味の
コトバのパズル
 
あなたは眼を醒ませと云うけど
往古来今奇妙奇天烈ありとあらゆる
御伽噺も語り明かせば終わりを迎える
 
だったら目覚めの決闘<キス>なんて
そんなものいらないわ!
 
 
突き進むのよ
このセカイが
燃え尽きるまで